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TOEFL・TOEICと日本人の英語力―資格主義から実力主義へ (講談社現代新書)

『「何が何でもTOEIC」といった昨今の風潮を嘆く。』

 本書は、英語のプロの立場から「猫も杓子もTOEIC」みたいな風潮を批判した本。「検定試験御三家」としてTOEFL・TOEIC・英検の試験内容を概観し、「TOEFLやTOEICには、長文読解問題がない」「TOEFL・TOEICは会話重視の試験である」「日本人は読み書きは得意だが会話ができない」「日本人のTOEFLの成績が悪いのは文法中心の英語教育のせい」等の言説が事実誤認であることを示していく。

 本書全体に漂う雰囲気として、『「心理テスト」はウソでした。』(村上宣寛 2005年 日経BP社)と似たものを感じた。『「心理テスト」はウソでした。』は、妥当性・信頼性の確認されていないエセ「心理テスト」なるものが、公務員試験や就職採用試験において無批判に実施されている現状を過激に批判していた。本書も、「就職・昇進・転職のためには、何が何でもTOEIC」というような昨今の風潮を嘆いている。

 全体的に愚痴っぽい雰囲気が強く、それだけの本なのかとも思ったが、TOEFLスコアに関する統計情報に基づいた議論(第4章「日本人のTOEFLスコアはなぜ低いのか?」)は英語教育の話につながっていて面白かった。「コミュニケーション重視の英語教育」を受けてきたはずの若い世代のTOEFLスコアは、旧来の教育を受けた世代よりもむしろ悪く、また、中国や韓国の同世代の受験者と比べると、会話もできないし文法や長文読解はもっとできない、のだそうだ。

 2002年に刊行された本なので、紹介されている試験内容も統計情報も最新のものではないが、著者の主張そのものは6年後の今日でもかわらず通用すると思う。

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