
『暇な首相って』
福田和也は、その読書量と執筆量で他の評論家を圧倒している。どの本を読んでも、古今東西のありとあらゆる文献が引合いに出されていて、読むといつもその幅広い知識とに感心する。その意味で、信頼できる評論家である。ただし、感心はするがあまり感動はしない。多分、良くも悪くも基本的にノリが軽薄だからだろう。勝手なことを言えば、父親にはしたくないが友達には是非欲しいタイプである。うがった見方をすれば、同じ文筆業者仲間でも、田中康夫をこきおろして石原慎太郎を賞賛しているのは、当人に若干欠けているが石原知事に顕著に見られる Paternal な側面を評価してのことかもしれない。自分にないものに人はえてして惹かれるものである。
まあしかし、相変わらずキレのある立派な文章を書いている。小泉論は特におもしろかった。新聞の「首相動静」を見ると分かるらしいのだけど、小泉って、昼も夜も全然人に会わないらしい。家でぼーっと音楽聴いているのが好きらしいのね。あとはせいぜい時代小説。福田が言うには「目立ちたがり屋のひきこもり」である。これってちょっとイマドキっぽい。でも、政治家が人に会わなかったらほんとにどうしようもないよな。政策について勉強してるならいいけどさ、マーラー聞いてても政治は全然よくならないぜ。