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中学入試国語のルール (講談社現代新書 1935)

『中学入試問題の解説を通じて、日本の国語教育の問題点も明らかにする』
「最近の若者の日本語は乱れているとよく言われます。しかし、少なくとも私の研究対象である明治維新以降、日本語が乱れていなかった時期はありません」「比較文化論が取り出す日本人像は、協調性があって、時間に正確で、理不尽なルールや法律も守り、お上に弱いというものです。これでは日本に未来はなさそうです」。

ちょっぴり毒気のあるコメントが、ところどころ顔を出す。面白い国語文章読解指南本である。

本書は、数々の中学入試の国語の文章読解問題を分類して紹介して答えを導くコツを伝えることを目的としながらも、日本の教育が抱える問題とその背景にあるものについても同時に鋭く読者に問いかけている。いや、ひょっとすると、むしろそっちの方が狙いではないかと思われるくらいである。

「日本の国語教育は道徳教育です」「中学入試の小説問題は他人の心を理解することが基本になっている」「中学入試国語における正解は、とりあえずの答えでしかない」と、日本の国語教育の「正解至上主義」に強い警鐘を鳴らしている。だから、問題文を批評的に読むことを求める国際的なテストでは日本は惨敗しているとのことだ。そしてそれが、社会に出て正解の無い問題に直面したり研究で自由な課題を与えられたときに戸惑う数多くの若者を生み出している原因になっていることを強く暗示している。

「親が学校に求めているのは学力であって、イデオロギーや愛国教育ではないのです」「大切な中学受験ですが、子供の心はもっと大切です」「社会が言う協調性とは、お前は社会の歯車になれというメッセージです」。単なる文章読解の解説本の枠を超え、この国の教育のあり方に一石を投じる部分も秘めた一冊である。

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