
『1日30分―得たものと失ったもの』
この本でいちばん(というか唯一)楽しんで読めたのが、著者の大学卒業前後からの略歴。遊学資金を貯めるためにダンプの運転手をはじめ学費と留学資金をまかなう。その後ワーキングホリデーで遊学&留学。カナディアンロッキーをキャンプしながらでまわりカメラの腕を磨く。後に読売新聞に入社して報道カメラマンとして勤務後、「30歳までに留学」の目標を適えるべくコツコツ英語の勉強をしてМBAを獲得。帰国後さまざまな分野で活躍、という展開だ。しかしその過程を通じて得たものがこれ?という不思議な落差を感じてしまう。ときどき、非凡な経験をしているにも関らず話というか本人自身になんの面白みも感じられないタイプがいるけれど、この人なんかそんな印象が。「勉強」という儀式を通じてひとりの男性が何を手にいれ、また何を失っていったかという物語として読むと、なかなか興味深い一冊だ。
まあ突っ込みどころもいろいろあるのだけれど、中にはこんな楽しい一節も。「勉強に限らず、創作活動も1人になって集中して行わないといい作品ができません。作家の司馬遼太郎や芸術家のパブロ・ピカソが、友達とわいわいしゃべりながら創作活動をしていたはずがありません」いきなり司馬遼とピカソ…あの、これジョークですよね?
ただひとつ、これはいただけない。この本でも「二流、三流大学の出身でも」といった決めつけ文句が目につくが、さらに自身のサイト(http://www.successtool.jp/seminar/)ではこんなコメントも。
・どうして、高校の同級生の中で古市だけ世に出たのか?
・どうして、MBAの同級生の中で古市だけがビジネスを起ち上げられたのか?
・どうして、二流大学卒の古市が一流大学卒の人たちよりも影響力があるのか?
あのー、各同窓生の中で自分だけが世に出て、ビジネスを立ち上げて、影響力があるっていう根拠はなんなんでしょうか?